2020年11月の1か月間、そよかぜ診療所で地域研修をさせていただきました。そよかぜ診療所を選んだのは、正直偶然によるところもありました。しかし、終わってみて本当にここで研修できてよかったと思います。下心があるんじゃないかと疑うくらいに皆さん親切で、本当にびっくりしました。いわずともたくさん心配りをしてくださいましたし、やりたいことを言うと、手助けしてくれながらもたくさんやらせてくれました(私の場合はエコーです)。なかなかおいそれとは先生たちのようにはうまくできませんが、数をさせてもらえて助かりました。
地域研修ならでは(とくにそよかぜならでは)というと、在宅医療でした。これまで病院のなかではたくさんの患者さんを目にしてきましたが、人のすむ空間に上がり込んでお話をするのは初めてで、新鮮でした。
「楽しく生きて、楽に死ぬ」
担当させていただいた患者さんたちは、在宅医療を受けている90代前後の方で、それぞれまさに楽しく生きておられるように見えました。
大学病院で、心臓手術を受けた82歳の方が人工心肺装置につながれ、挿管され、人工透析を回された状態で4か月経過した後に亡くなる症例を経験しました。救命を目的として治療を続けておられましたが、時間が経過するにつれて先生たちの方針は分かれていき、最終的には消極的に手を引くこととなりました。
死に臨むにあたっての選択は前もってしてもなかなかその通りにいかなかったり、気がかわったりするかとは思いますが、在宅医療という形は今後かならず発展するべきだと感じました。
在宅医療は人と人のつきあいという感じが強く、魅力的です。おじいちゃんがくれた自家製の白菜や大根、柿はおいしくいただきました(一部大根はたべきれませんでしたが)。
私はよく、迷って考えてしばらく動けなくなってしまうことがあります。11月1日にここに来た時も今後について悩み、煮つまって焦げ付いたような気持ちでいました。そよかぜ診療所で過ごして、答えが出たわけではありません。でも、ここでの生活がおそらく今後によい影響をもたらしてくれると思います。また新しい気持ちで、健やかに悩めそうです。
最後になりましたが、いつも熱心に指導してくださった岡本秀樹先生、ちょっとゆるいところが素敵な静子先生、すべてのことにいつも丁寧な黒瀬先生、いつもおいしいごはんをつくってくれたおばあちゃん、浅田さん、本当にありがとうございました。いつも親切な松岡事務長、たよりない研修医をいろいろと助けてくださった看護師さん、足立さん、加藤さん、スタッフのみなさん、本当にありがとうございました。
山東町の、重なり合った山の稜線はとてもきれいでした。
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